Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
「なよ竹」や「小夜衣」や、そんな秘密をなんにも知らない彼は、かえって父の短慮を怪しんだ。こんな薄弱な証拠で味方の一人を攻めほろぼそうなどというのは、日ごろの父にも似合わしからぬ事だと思った。それも畢竟は病いのためで、病いが父の心を狂わせるのであろうとも考えたので、彼はまじめに父の相談相手になろうともしなかった。相手がまじめに取り合ってくれないので、師直は機嫌を損じた。将軍家のおん大事、惹いては我が家の大事を、おのれは何ゆえ疎略に存ずるかと、彼は眼の色を変えて我が子に食ってかかった。師冬も初めは好い加減になだめようとしていたが、父の権幕がだんだんに激しくなって、おのれも塩冶の贔屓をする以上、おそらく同腹の謀叛の党であろうなどと罵り哮るので、師冬もしまいには堪忍がならなくなった。彼の癇癪もとうとう破裂して、ここに一場の親子喧嘩が始まった。しかし正当の理屈は師冬の方にあるので、ややもすれば言い負かされそうになる師直は、骨も魂も焼け爛れるばかりの憤怒に眼が眩んで、しまいには我が子を勘当するとも言った。父の館へ出入りを差し止めるとも言った。
師冬もいよいよ昂ぶって来る癇癪を抑えることが出来なかった。