Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans
八
彼女は、佃の態度に対する歯痒さと、それをわざわざこのようにして、他人と自分との前に暴露させるミス・プラットの冷やかな画策とに、むらむらとした。ミス・プラットが、こうでもしたらと、伸子のためを思って、佃の赤裸な姿をさらさせようとしているのは、伸子によく判った。「人前で器量を下げるような男!」ミス・プラットは、自分がそう思って愛想づかしをすると思うのだろうか。
執拗に黙っている佃に向って、ミス・プラットは平手打ちを与えるように云った。
「おっしゃられないのは、あなたの人格が空虚な証拠です。――理想も熱情も、思想もありはしないのです! あなたはそれで伸子さんに」
「――ミス・プラット!」
ミス・プラットは蒼くなった伸子を見た。――彼女は神経的な身じろぎをして、口をつぐんだ。
八
ミス・プラットの好意を、伸子は次第に重荷に感じた。ミス・プラットのやり方には、何か、伸子が素直になれないものがあった。次の稽古の日、日曜の夜のことについては互に一言も云わなかった。が、ミス・プラットはふと、
「このあいだの晩、コスモポリタン倶楽部で、私心づいたことがあったのですよ」
と、云い出した。