Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans

Aozora Bunko

二

発車する汽車が向う側に入っていて、その方の見送りや貨物の積込みやで雑沓する中に、数人の出迎え人が、今停車しようとするこちらの客車一つ一つに注目して佇んでいた。その群の中に、伸子は思いがけない横顔を認めた気がした。佃そっくりの、外套を着て山高をかぶった男が、人待ち顔に立っている。彼女の着く時間は手紙で知らしてあった。伸子は、体じゅう、ぽっと熱くなったほど感情を動かされた。彼が来てくれたのだろうか? 彼だろうか? 彼が来てくれるとは思いがけない! 伸子は一層窓からのり出した。彼女は、その佃らしい横顔に向って、合図のつもりで手を振った。が、伸子の目的の人の注意は引かず、赤帽が、まだ惰力で辷っている列車の窓下に駈けつけて来た。

「何箇です? これだけですか」

伸子は、声の届かないところに佇んでいる、その人影を見失うまいとその方に気をとられながら、トランクを渡した。

「何番?」

「二十八番」

足早に、伸子はその人が立っている柱のところまで進んだ。いよいよ夫かと思った時、ひどく動悸がし、口をしゃんと結んでいられないほどであった。礼の言葉をもどかしく制し、一直線に三尺ばかりの距離まで来て、改めてその顔を見なおすと彼女は、変な、泣笑いのような皺を口に漂わし、ふいとわきに逸れた。