Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans
八
自分の得たいと願う生活の歓びは、この世にあっていけないほどぜいたく極まったものであったのであろうか。――神よ、神よ。そして、自分は誰からも愛して貰えないほど、度はずれな女なのであろうかと。
八
素子が来る日、伸子は待ちかねて停車場へ迎えに出た。午後からひどい雷雨があった。家を出る時はこやみであったが、市から帰るころ丁度また烈しくでもなって、俥が出なければ、伸子は市で泊るしかあるまいと思い、小さな櫛など持って出た。去年の夏、村の俥夫の家へ雷が落ちた。彼はその時びっくりしたあまり病気した。それから雷雨がひどいと、その俥夫は足がすくんで動けないのだ。市からはそういう天候だと、村まで有名な風当りの強い街道を冒して来る俥夫などは一人もなかった。
帰途には幸い風だけになった。真暗な夜道の八方を吹き廻す風の荒々しい、唸りだけ聞える。素子が幾分不安そうに前の俥の中から、
「――ひどいな――よっぽどあるんですか、まだ」
という声がした。
「もうあと三分の一」
ゆっくり力を入れ大きい声で明晰に返事したのに、風に吹き散らされ素子へ届かなかった。
「え?」
ときき返す声がしたが、伸子はもう黙って揺られていた。