Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans

Aozora Bunko

伸子はエプロンの紐を解きながら、酸いような笑いで口元を歪めた。

「そうでもないわ」

「じゃ、いいようなもんだけれど……」

多計代は、それ以上云わず、テーブルの花の工合をなおし始めた。古くなりかけた矢車草の葉をもぎ、少し上体を反らせるようにして枝ぶりを見る。花いじりは手先だけのことで、母の胸に云いたいことが詰っているのを、伸子は直覚した。多計代はそれきり何も云わなかった。

数日で四月が終ろうという日、伸子は従妹達とある友人の宅に招待された。曇っていたが、艶のある灰色の空に、ねっとり濃い地上の青葉が美しい日であった。四時頃、伸子が支度をしに洗面所に行くと、佃は、一緒に部屋を出て来て、広縁の隅につくりつけた本棚の片づけを始めた。その本棚は家族共同のもので、本と云っても碌なのは一冊もなかった。古雑誌の仕舞いどころであった。幾年間かの婦人雑誌類が無秩序につめこまれ、それが崩れて、片方の硝子戸が開かないようになったことを、多計代が何かのついでにふと話した。伸子は、今彼のしようとすることを見て驚き、

「決して、あなたにしてお貰いする積りで云ったんじゃあないのよ」

と、止めた。