Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans

Aozora Bunko

この木いっぱいに薔薇が花をつけていた頃、三十日も前になるだろう、彼女は田舎にいて、夜毎に耳だつ広い虫の音と、黄色くなって来る庭の芝を見て暮していた。その間の気持や、今自分達二人が、透明に秋陽のさす庭で、薔薇を剪る剪らぬと云い縺れている心持。烈しく愛し合っていた筈の二つの心が連絡を失い、ただ、離れ切れない消極の力だけに牽かれて、互に牽きつ牽かれつしている状態が、切なく伸子に迫った。これから何年か経った後のある秋晴の日、偶然今日の些細なこの情景が、記憶の底から浮び上ることがあったら、縁側にこうやって坐っていた自分、庭にいる佃の姿、美しかった二輪の薔薇は、何を自分に語るだろう。

翌朝、黎明に、伸子は硝子戸から庭をすかして見た。薔薇は露に濡れ、うなだれながら、色鮮かに、昨日と変らず咲いている。その無心な鮮かさ、浄らかさが、異様に伸子の心を傷ませた。彼女は眼を逸すようにして通り過ぎた。

三

夜の八時。スミルノフが、ハフィズの詩を音読していた。後について、佃が抑揚を注意しながら、一節ずつ読んで行く。――喉音の多い、単調な二つの男の声は、あたりの空気を重く感じさせた。