Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans
本当に! 自分の持って生れたよいところ、わるいところ、全存在を傾けつくして愛し憎んだ佃であって見れば、ふと思い出した石ころ一つにもつながって、彼がある時こう云った声、ああ自分を視た眼付が思い出せようではないか。佃もそれと同様に、自分の細かいことまで思い出すであろうと思うと、伸子は、一瞬に互の五年の生活がたたまって自分にのしかかってくるような息苦しさを感じた。
紅茶とトウストを食べると、伸子はテーブルを立ちながら女中を呼んだ。
「一寸――納戸にある鞄ね、あれを出して掃除して頂戴」
「お立ちでございますか?」
「ああ。今日から動坂へ行っていないと都合がわるいから」
縁側へスウト・ケイスを出し艶布巾をかける。傍で、伸子は机の上から日記その他必要の文房具をまとめた。ほんの着換えの袷、セルなどをつめた上に、原稿紙をのせた。
「お荷物はこれだけでよろしいんでございますか」
「――もっといれば云ってよこすわ、送ってくれるわね」
「ええそりゃ――」
云い難そうにしながら彼女はたずねた。
「たいていいつ頃お帰りになりますでしょう」
「帰らなかったら困る?」
と云って、伸子はふざけるように一寸笑った。