Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

「君は、亜鉛箱をこのタンクに漬ると、間もなくこの部屋を出て行った。工場の外で、異様な呼笛の音が聞えたからだ。君は若しやと思って、塀の外をのぞきに行ったのだ。あの時のことを覚えているかね」

谷山は、図星をさされて、何かしらギョッとした。どう答えてよいのか分らなかった。

「その君の留守の間に、この部屋で、どんなことが起っていたか、君は少しも知らない様だね」

明智はますます妙な事をいう。

谷山は、キョロキョロと、不安らしくあたりを見廻していたが、何も不安がる理由のないことをさとると、憎々しげにいい返した。

「で、それが一体どうしたというのですね。僕がちっとばかりこの部屋を留守にしたからといって、まさか倭文子達が、逃げ出した訳じゃあるまいし。僕の目的には何のさしさわりもないことだ」

「果してそうかね。君は、僕がここへ来るのに、何のお土産も持って来なかったと思っているのかね」

明智はニコニコ笑って、

「それは兎も角、この部屋の電燈は少し暗過ぎるようだね。すべての間違いの元は、この暗い電燈にあるのじゃないかと思うのだがね」

と、じっと谷山の顔を見た。

谷山は相手の意味を悟り兼てキョトンとしていたが、やがて、何事かに気付いた様子で、突然、非常な狼狽の色を浮べた。