Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なつむしあんどん

夏虫行燈

吉川 英治

Lisez 夏虫行燈 (なつむしあんどん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 200 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

――誰か、即刻呼んで、申しつけますれば』

『いや、もう時刻がない』

市之丞は、大股に控え部屋を出、武器の櫓の下まで歩みかけた。

――と。そこへ慌しく、

『お待ち下さい。甚三郎の切腹、暫く、お待ち下さいっ』

息を喘いて馳けて来た与四郎兵衛が、切腹部屋の前まで出揃った人々を見て、手を振った。

『何で留めなさる』

一人が、強くたしなめた。

『いや、下手人が、分ったのでござる!』

与四郎兵衛の言葉は、絶叫するようだった。

『――われわれは、まんまと、その下手人に、騙かられたのじゃ。折角、御城内にいたものを、逸してしもうたのだ』

『――して、誰だ? 下手人とは』

市之丞は、眼を光らして、問い詰めた。

『されば高安平四郎と相分った』

『何、平四郎――が』

皆、意外な顔を見あわせて、

『然らば、紛失物を奪ったのは、平四郎の仕業と仰せあるか』

『甚三郎に、恨みがあって、彼奴が謀ったことだと申す』

『――誰の口からそれが知れましたか』

『今。御城門へ訴えて来た、萩井十太夫殿のお娘――小夜どのがそう申すのじゃ。しかも、その訴えによれば、平四郎自身が、小夜どのに、自己のやった復讐を誇って、そのまま逐電したとも云う。