Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Lisez 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 249 caractères · 62 écrans
八五郎はまさに、そう信じきっているのでした。
「お前は伊賀井家へ乗込んで、そんなことを言ったのか」
「言いましたとも、相手は三千石の大身だ。脅かしかも分らないが、幸い三百両の餌があるから、用人の禿頭を前にして、奥まで響くように、精いっぱいの大声で立て読み一席やりましたよ。あれだけ張り上げれば、大川の向うへだって聞えまさア。遠眼鏡の殿様も大あばたの奥方も、一から十まで聴いたに違いない」
「それからどうした」
「無礼者、そこ動くな、ピカリと来ましたよ。首筋をかすったようだが、傷はありませんか、親分」
八五郎は自分の首筋へ唾などなすっているのです。
「馬鹿だなア」
「それから一目散に飛び出した。――懐中の十手を取り出すわけにもいかないから、逃げの一手だ。石燈籠を蹴散して植込をくぐって、裏門を出るのが精いっぱい」
「呆れた野郎だ。だから俺は余計なことをするんじゃないと言ったろう」
「だって女二人まで殺してヌクヌクと――」
「誰が女二人を殺したんだ」
「あの味噌摺用人でなきゃ、下女のお初」
「違うよ、八」
「ヘエ?」
「弁慶の親分も聴いてくれ、――俺は今、下手人の名を打ち明けるから、決して縛らないと約束してくれるか」