Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Lisez 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 249 caractères · 62 écrans
自分の部屋に入ったお君は、廊下を距てた母親の部屋に声を掛けました。二枚の厳重な板戸は、内から錠がおりて、外からは開ける工夫もありません。
「お母さん、どうかしました? お母さん」
内からは返事がなく、板戸を叩くと、何やら、うめく声が応えるばかり。
「お母さん、開けて」
お君は息を弾ませました。次第に募る不安に、とうとう板戸にしがみつくように、叩いたり、ゆす振ったりするのです。
「鍵は?」
「お母さんが持っているんです」
「ほかにどこか」
八五郎も板戸に手を掛けましたが、これは思いのほか厳重で、引手も桟もなく、力のほどこしようもありません。
「お母さん」
お君は八五郎の問には答えず、廊下にヘタヘタと崩折れてしまいました。内から応じたうめき声も、ついには絶えてしまった様子。
外へ飛出した八五郎は、忙しく離屋をひと廻りしました。六畳に八畳、お勝手も便所も付いた纏まった建物ですが、窓には牢格子のような厳重な格子を打って、内には雨戸を閉めているので、覗いてみる工夫もありません。
元の廊下に戻ると、お君は精も根も尽き果てて、板戸を掻きむしりながら、ヒイ、ヒイと悲鳴をあげておりました。