Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

だが、いくら活溌に動いて見せたところで、これが健康な人と云えるだろうか。あの顔色はどうだ。目のまわりを薄黒く隈取っている死相はどうだ。

「フフフ……、これかね」老人は自分の顔を指さして、「これは絵の具だよ。ここの院長さん絵心があってね。わしの顔をメーク・アップしてくれた。これは院長とわしと二人だけのお芝居でね、看護婦も事務員も、誰も知らないのだよ。でないと、どこに敵のまわし者がいないとも限らんのでね」

非常に痩せて見えたのは、負傷の為に本当に痩せてもいたのだし、それに、目をドロンとさせたり、口をだらしなく開いたり、上手なお芝居が、一層老人の形相を物凄く見せたのであった。

やっと仮病人の次第が分ったので、守青年は俄かに安堵を感じながら、彼の口辺にも、思わず笑いが浮かんだ。

「そうでしたか、僕はどうなることかと、実に心配しましたよ」

「イヤ、失敬失敬、敵をあざむくには、先ず味方からという訳でね、つい驚かせて済まんかった。君には、もう大体分ったじゃろうが、赤蠍の奴、今度はわしを狙い始めたのでね。危くて仕方がない。傷の方もすっかり治っているのだけれど、敵をあざむく為に、懇意な院長に頼んで、いつまでもここに置いてもらっている訳さ。