Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
やっぱりあれは気のせいだったに違いない。皆に話をしなくっていいことをしたと、ホッと胸なでおろす気持だった。
午前九時半には、新しい家庭教師の殿村夫人がやって来た。
「今日は大変お顔色がよござんすわね」
殿村夫人は昨日に変る品子の顔色を見て云った。
「エエ、昨夜はよく眠れましたのよ」
品子もほがらかに答えた。たった半時間あとに、どのような恐ろしい運命が、待ち構えているかも知らないで。
暫く話している内に、女中が朝のお風呂が沸いたことを知らせて来た。
「先生、一寸失礼しますわ」
「エエ、どうか御ゆっくり、わたくし階下でお母さまとお話していますから」
そうして、品子は湯殿へおりて行ったが、風呂をすませて、手早くお化粧をすると、元の二階の居間へ帰る為に、裏階段を上って、そこにある大広間の前の廊下を歩いていた時、彼女はふと、障子の嵌込みガラスの向うに、異様な物の姿を認めて、思わず立止った。
そこは二十畳程の大広間なのだが、滅多に使わない座敷だものだから、北側の窓などは両方をしめたままになっていて、部屋の中は陰気に薄暗かった。その薄暗い床の間の前に、何かしら見なれぬ大きなものが置いてあるのだ。