Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

「こちらです」

と、男は先に立ちながら、

「相川さん、今晩は用心しないといけませんぜ。先生はひどく不機嫌です。いつも余り機嫌のいい人じゃありませんがね。今晩は殊にひどいですよ。さい前帰ってから、書斎に閉籠ったきり、お茶を持って行っても、僕をよせつけないんですからね」

と親切に注意してくれる。見かけによらない好人物と見える。

「この家には、先生とあなたと二人切りなんですか」

そういう噂を聞いてはいたけれど、建物が広過ぎる様に感じたので、訊ねて見ると、

「そうです。先生は女嫌いです。奥さんは一度も持たなかった相です。僕もまあ女嫌いですがね。ハハハ……」

変物の先生には、変物の弟子がつくものと見える。この男、初対面の客に、色々な事をペラペラと喋るのだ。

薄暗い廊下を曲り曲って、やっと名探偵の書斎に来た。廊下の造り方さえ迷路の様だ。

男はドアをノックして、「相川さんです」と呶鳴った。

すると、中からドアが細目に開いて、鬚もじゃの顔がチラッと覗いたが、低い嗄声で、

「相川さんだけお入りなさい。お前はベルを鳴らすまで用事はない。あっちへ行っていなさい」

と云った。

(成程変りものだわい)と少しおかしくなったが、云われるままに中に入って見ると、まるで学者の研究室の様に、四方の壁が本で埋まっていて、部屋の真中に、大きな書きもの机