Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
闇を這うもの
空耳ではない。確かに息遣いの音だ。何かしら生きものが、暗闇の中に蠢いているのだ。
闇を這うもの
相川青年はこの日頃、悪夢の世界をさまよい続けて来た。春川月子の虐殺、化物屋敷の壁に描かれた血の蠍、箱の中から聞える異様な歌声、叢に生えた生腕、闇夜の曲芸団のテントから現われた青眼鏡の怪物、名探偵三笠龍介氏に化けた殺人鬼、どれもこれも、凡てこの世の出来事とは考えられなかった。そして、今この穴蔵も亦、それらの奇怪な悪夢の続きなのではあるまいか。
彼は何も見えない闇の中に、人間程の大きさの蠍を幻想した。蜘蛛の様な八本の長い足を、互違いに動かして、巨大な鋏をいからせ、鋭い毒針の尻尾を醜く歪げて、隙もあらば一飛びに襲いかかろうと身構えながら、ゴソゴソと這い寄る、真黒な怪物を、幻想した。その妖虫が、犬かなんぞの獣の様に、ハッハッと呼吸しているのだという、変てこな考えに、彼はワナワナと震え出す程の恐怖を感じた。
コンクリートらしい、冷たくてザラザラした床を、守青年は、身を縮める様にして、呼吸の音とは反対の方角へ、ジリジリといざりながら、
「シッ、シッ」
と激しく、見えぬ獣を叱りつけた。