Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans

Aozora Bunko

二

――幕府の手先というのは、本当だろうか。あの、弓に射られたのは、どんな男たちだろうか、……あの弓。

半之助は息をつくために、大きく突き出た岩のところで、立ち停ったが、そのときふと、築地の丸茂の庭で、白鷺を射とめた、あの弓の名手のことを思いだした。

「――菱屋なにがし、とかいったが……」

彼は額の汗を拭いた。

二

半之助はまた登り始めた。

息はまだ苦しい、もう少し休みたいのだが、下のほうで、(いま彼がまわって来た断崖のほうから)人の来るけはいがしたのである。月はちょうど、正面にあった。登ってゆく山の、稜線に、もう少しで隠れようとしている。あたりはかなり明るいが、逆光線で、突き出ている岩や、ところどころ斑に生えている、草や灌木の茂みが、際立って暗い。彼はその暗いところを伝って、這うように登り続けた。

喉がひどく渇いていた。唾をのもうとすると、舌の奥が貼りつき、抑えるひまもなく、咳がこみあげてきた。ひとつかみほどの、若草に手が触れ、それが露でしとどに、濡れていた。彼はその小さな草の上に、顔をじかにつけて、貪るように、露を吸った。

――菱屋なにがし。

丸茂の庭を見ながら、主馬に聞いた名である。