Classiques japonais avec furigana
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「しなゆうき」
支那游記
Lisez 支那游記 (「しなゆうき」) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 859 caractères · 105 écrans
八 城内(下)
八 城内(下)
今更云うまでもない事だが、鬼狐の談に富んだ支那の小説では、城隍を始め下廻りの判官や鬼隷も暇じゃない。城隍が廡下に一夜を明かした書生の運勢を開いてやると、判官は町中を荒し廻った泥坊を驚死させてしまう。――と云うと好い事ばかりのようだが、狗の肉さえ供物にすれば、悪人の味方もすると云う、賊城隍がある位だから、人間の女房を追い廻した報いに、肘を折られたり頭を落されたり、天下に赤恥を広告する判官や鬼隷も少くない。それが本だけ読んだのでは、何だか得心の出来ない所がある。つまり筋だけは呑みこめても、その割に感じがぴったり来ない。其処が歯痒い気がしたものだが、今この城隍廟を目のあたりに見ると、如何に支那の小説が、荒唐無稽に出来上っていても、その想像の生れた因縁は、一々成程と頷かれる。いやあんな赤っ面の判官では、悪少の真似位はするかも知れない。あんな美髯の城隍なら、堂々たる儀衛に囲まれた儘、夜空に昇るのも似合いそうである。
こんな事を考えた後、私は又四十起氏と一しょに、廟の前へ店を出した、いろいろな露店を見物した。靴足袋、玩具、甘蔗の茎、貝釦、手巾、南京豆、――その外まだ薄穢い食物店が沢山ある。