Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 659 caractères · 372 écrans
それもただ、地の嶮を守って、生きながらえていようというだけの消極的なものではなく、昌幸も次男の幸村も、実は、鬱勃たる雄心を蔵していた。一族や、家臣のともがらにしても、みなこれ、かつて甲山の強者であり、すくなくも天目山以前までは、織田も徳川も何する者ぞ――と、信玄盛時の自尊心はなお高かった者どもである。
だから、天正十年、信長の死によって、一時天下紛乱のすきに乗じて、北条や徳川の群雄が、さかんに小国の伐り取りを稼いだ折も、小国ながら真田一族も、その尾について、領土を伐りひろげた。――上州の沼田は、当時、かれらが手に入れたものなのだ。
それを今、やみやみ北条家へ明け渡せという。これは、渡さんと頑張るのも、むりはない。
しかし北条家では、
「約束がちがう」
として、厳重な抗議であり、家康としては、西に秀吉をひかえ、その秀吉から自己の衛星国を仮借なくもぎ取られている今日、あえて背後の強大な北条家と不和をこのまぬのはいうまでもない。
「小の虫をころして、大の虫を……」
と、いう当然な打算は、また当然、高圧的な厳命となったので、真田方は、ついにその主体国徳川へ、弓を引いても、と悲壮な覚悟をかためるに至った。