Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

「何かと、こまやかに、嬉しゅう思います。わけてお許にひと目でも会えたのは、またとない仕合せでした。ここには気づかいなく、お許の思いのままよい死に場所を取って、敵に嗤われないようにして下さい」

「ありがとうぞんじまする。……では」

今生これきりの一礼をのこして、

「叔父上。おねがいします」

「承知した」

「女房。みだれるなよ」

妻へも、一言いって、彼はすぐ去った。

城壁の外には、もう鉄砲の音が聞えて来た。それと、たった今、ここにいる者が立って来た奥の丸から突然、濃い煙が立ちはじめた。

これは光春の命によって、小姓の奥田清三郎と船木八之丞のふたりがみずから放った火であった。その火焔が橋廊下のある中庭を隔てて此方の広間の障子へ赤く映った。

「――怖いッ」

取りすがる子の叫びや、急に泣き立てる子の声がながれた。その中にも、長閑斎の声だけは、何となく明るく、

「泣くじゃない、泣くじゃない。さむらいの子は、泣かないもの。――じじも行きますぞ、母御も参ろうぞ。みなも来い。お手々をつないで死出の旅出じゃ。さあ、お行儀よく、おすわりなさい。順々に、じじが連れて行ってさしあげる」