Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

櫓は半崩れとなり、死傷者もだいぶ出た。それにこの梅雨どきである。病人はふえるし、食糧も濡れびたしとなり、廓内の惨状は目もあてられない。

西曲輪と東曲輪との往来さえ舟や筏でするほどだった。城兵は、染戸の染板数百枚をあつめて、軽舸を作った。水上戦のとき、それに載って寄手の大船へ攻めかかった勇者もある。そのとき二、三の軽舸は沈没されたが、泳ぎ帰って、ふたたびこの中で指揮している者もあり、何しろ農民までが、今は兵にも劣らない決死のすがたを持っていた。

「他郷へ逃げれば逃げてもよいお前たちなのに、われらと運命をともにさせたのは不愍であった」

と、守将の清水宗治が見廻っていたわると、彼らやその家族たちは声をあげて哭きながらも、

「殿さまと御一緒なればうれしゅうございまする」

と、みな答えた。

宗治の日頃の民望が今この声となったものである。

吉川、小早川の援軍が、彼方の山々に到着して、その旗幟をここから望んだときは、全城の士民はみな蘇生の思いを抱いて、

「もう大丈夫」

と、一日中、歓呼したものだった。しかし、それも遂に、自分たちを救うことの出来ないものであったと、彼我の地勢や作戦上の理解に知って、一時は落胆したものの、決して戦意を捨てはしなかった。