Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans
……さてさて、御油断ゆえに、わずかの遅れ。惜しいことでおざった」
諸将、たれの胸にも、このことはあった。長秀の言は、諸将の感情を代表したものといえる。
同時に、これは勝家の大弱点であった。出遅れて、故君の弔い合戦に会さなかったという一事だけは、何としても弁疏の道がない。長秀は巧みにそこを衝いてから、秀吉の提議が正しくもあり、穏当でもあるという、自己の賛意を忌憚なく述べ終った。
彼が口をつぐむと、ここ大評議場の空気は一転、険悪を孕みかけて来た。勝家の苦境を救おうとするかの如く、滝川一益が側の者に急に私語し始めたのをきっかけに、諸所において、低語歎息が聞え出した。――これはむずかしい。織田家の御運の別れ目は今。――と表面は片語の騒めきに過ぎなかったが、声なき底に勝家対秀吉の正面切っての衝突が、どうなることかと、より以上の関心となったのはいうまでもない。
この重苦しい空気のうちに、当の勝家はと見れば、茶道衆が、すでに午の刻を過ぎている旨をそっと伝えて来たのに対して、
「うむ。ウム」
と、うなずいたきりで、汗ぬぐいをくれといいつけ、同朋の者が、水絞りの白布を捧げると、大きな手にそれをつかんで、襟くびの汗を拭きぬいていた。