Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

すると雲八は、大きく何度もうなずいて、しかも暢んびり答えた。

「ははあ。それがしの年をおたずね給わってか。世に聞ゆるほどな武功もなく、お恥かしいことでおざるが、当年七十六になり申す」

勝家は唖然とした。

きょうの多忙を目の前に、しかも一日も晏如たるは得ない刻下にあって、こういう老人をつかまえて癇を尖らせていたことの何たる愚ぞや――と自嘲を覚えるとともに、秀吉にたいする敵意は、倶に天を戴かざる者とまで誓われていた。

「立ち帰れ。もうよい」

顎を振って、促したが、雲八は腰へもちでもつけたように落着きすまして、

「何ぞ。御返書でもあらば」

と、勝家の顔をおっとり眺めこんでいた。

「宿老はどこにおいでか。北ノ庄殿には、どこにおわすか」

そのとき誰やら、自分をさがしている声がしたので、勝家は、それを機に、

「ない、ないっ。返辞など、何もない。いずれ会うところで会おうと、筑州に伝えておけ」

云いすてて、廊下も狭しと歩いてゆく彼の大紋姿は、本丸の方へ去ってしまった。

大島雲八も廊下へ出ていた。老いの腰に片手をあてて勝家の影へ振り向いているのである。やがて独りげたげた笑いながら、これはお表の方へ歩いて行った。