Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans

Aozora Bunko

「それじゃ行ったらいいだろう。そして小崎の叔父に話をして、浅草なぞは早く足を洗った方がよさそうだぜ。」糺も興のない顔をして言った。

「え、それじゃ行きます。」お庄は急に髪の道具をしまいかけた。

「どうせお前たちを見るのは、一番縁の近い小崎のほかにアないもんだで、行ったらよく話して見るがいい。あすこには子供がないで、そのくらいのことをするが当然だ。」

するうち古茶箪笥の上の方にかかっている時計が五時を打った。お庄は何だか気が進まなかった。寄席へも行きそびれたような気がして、心がいらいらした。糺に話したいことも胸につかえているようであった。お庄思いの糺には、家もなくて方々まごついているお庄の心持が、一番解っているように思えた。

お庄は帯を締め直すと、二階に忘れて来た手を捜しに上った。二階には寒い夕方の風が立てつけの悪い障子をがたがた鳴らして、そこらの壁や机の上にまだ薄明りがさしていた。お庄はその薄暗いなかに坐って、しばらく考え込んでいた。するうちにそっと起ちあがって、段梯子を降りた。

お庄はやがて、堅く凍てついた溝板に、駒下駄の歯を鳴らしながら、元気よく路次を出て行った。