Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
老人夫婦もちょっと来て挨拶をして行った。
店の方で、何やらごたごたしている様子が、こっちへも解った。お庄が女中に頼んで、そこへ鏡台を持って来てもらって、顔を直したり、衣紋を繕ったりしている間に、媒介人は二度も三度も、店の方へ呼ばれて行った。
「困ったな。」と、媒介人は部屋へ復ってくると、入口でそっと浅山に耳打ちをした。一行が乗り込んで来る二、三時間前に、ぶらりと店頭から出て行ったきり、子息の姿が見えないと言うのであった。
「どうしたというんだ。肝腎のお婿さんの行方が知れないなぞは少しおかしいね。」とチョッキの間ぬけて衿の濶いフロックを着けて坐り込んでいた浅山は、興のさめたような顔をして、薄い口髭を捻っていた。
頭の地の透き透きになった、色の黒い大柄の媒介人は、落着きのない顔を顰めてまた母屋の方へ渡って行った。
二十二になる新婿が、床前に伏目がちに坐っている嫁の側へ押し据えられたのは大分経ってからであった。お庄はその顔を見ることすら出来なかったが、べろべろに酔っていることだけは、媒介人に引っ張られて入って来た時の様子でも解った。並みはずれに身長の詰ったじくじくした体や色の蒼白い細面なども、坐る時薄々目に入った。