Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
七
笹村は、六畳の方で、窓を明け払って寝ていた。窓からは、すやすやした夜風が流れ込んで、軽い綿蚊帳が、隣の廂間から差す空の薄明りに戦いでいた。
ばたばたと団扇を使いながら、いつまでも寝つかれずにいるお銀の淡白い顔や手が、暗いなかに動いて見えた。
七
「……厭なもんですよ。終いに別れられなくなりますから。」
お銀はある晩、六畳へ蚊帳を吊っていながら真面目にそう言った。
互いに顔を突き合わすのを避けるようにして過ぎた日のことを、振り顧って話し合うように二人は接近して来た。
お銀は机の傍へ来て、お鈴に褫われた男のことを、ぽつぽつ話し出した。
「どんな男です。」笹村もそれを聞きたがった。
お銀は括られているようなその顎を突き出して、秩序もなく前後のことを話した。
「晩方になると、私家を脱け出して、お鈴の部屋借りをしていた家の前へ立っていたんですよ。すると二人の声がするもんですから、いつまでもじっと聴いているんでしょう。私莫迦だったんですね。自分から騒いで、かえっていけなくしたようなもんですの。」
お銀はそれから、親類の若い男と一緒にそこへ捻じ込んで行ったことなどを話した。