Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
五十八
明くる朝も笹村は早く目がさめた。舌にいらいらする昨夕の酒に、顔の皮膚がまだ厚ぽったく熱っていて、縁側に差し込む朝日が目に沁みるようであった。
庭をぶらついている笹村の目に入ったお銀の蒼い顔にも、疲労の色が見えた。お銀は茶の間の縁先に子供を抱いてぼんやり坐っていた。
その日は朝飯をすますと、お銀は子供を負って、めずらしく外へ出た。
「くさくさするからどこかへ行って遊んで来ましょうね。」
そう言って出て行くお銀の調子には、いつにない落着きと、しおらしさとがあった。
午後の三時ごろに、お銀がよく往来している友達と一緒に帰って来た時、笹村は襖を閉めきって自分の部屋に寝ていた。
五十八
「……私もいつ逐ん出されるか知れないから、ひょっとしたらあすこを出てしまおうかとも思うんですがね。」
お銀は芝の方に家を持っているその友達を訪ねて、そんな話をしはじめた。
商売人あがりのその友達は、お銀がもと金助町にいたころ、親しく近所交際をしたことのある女であったが、このごろやり出したその良人はかなり派手な生活をしていた。女は来るたびに、時々の流行におくれないような身装をしていた。