Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
「これじゃそっちの話し声が耳について、勉強も何も出来やしない。」笹村は机の前に坐りながら言った。
「勤め人の夫婦ものか何かには、持って来いの家だよ。自分一人で住まう気になっているから困る。」
「そうですね。これじゃ……。」と弟も首を傾げた。
「やッぱり気がつきませんでしたかね。でもあんまり気持のいい家だったもんですから。」
お銀も気がさして来たが、やはり住み心はよかった。
木蓮や石榴の葉がじきに繁って、蒼い外の影が明るすぎた部屋の壁にも冷や冷やと差して来た。ここへ来てから、急に蘇ったようなお銀は、どうかすると、何事も忘れて半日も、せいせいした顔をして拭き掃除をしているようなことがあった。笹村も庭へ出ては草花弄りなどをして暮した。やがて頭の懈い夏が来た。
風呂桶が新たに湯殿へ持ち込まれたり、顔貌の綺麗な若い女中が傭い入れられたりした。
「これはおかしい。」
笹村はそのころから、顔色の勝れない正一の顔を眺めながら、時々気にしていた。次の女の子が、少しずつ愛嬌づいて来るにつれて、上の子は母親に顧みられなくなった。気むずかしい子供は、時々女中や老人をてこずらせた。