Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
」
お増は横を向いて、莨をふかしていた。
除夜の鐘が、ひっそり静まった夜の湿っぽい空気に伝わって来た。やがて友達の引き揚げて行った座敷に、夫婦はしばらく茶を淹れなどして、しめやかに話しながら差し向いでいた。綺麗に均された桐胴の火鉢の白い灰が、底冷えのきびしい明け方ちかくの夜気に蒼白めて、酒のさめかけた二人の顔には、深い疲労と、興奮の色が見えていた。表にはまだ全く人足が絶えていなかった。夜明けにはまだ大分間があった。
明朝は麗かな、いい天気であった。空には紙鳶のうなりなどが聞かれた。昨夜のままに散らかった座敷のなかに、ふかふかした蒲団を被いて寝ている二人の姿が、懈いお増の目に、新しく婚礼した夫婦か何ぞのように、物珍しく映った。部屋には薄赤い電気の灯影が、夢のように漂っていた。
「何だかあなたと私と、御婚礼しているようね。」
着替えをしたお増は屠蘇の銚子などの飾られた下の座敷で、浅井と差し向いでいるとき、独りでそう思った。そこへお今も、はればれした笑顔で出て来て、「おめでとう。」とはずかしそうにお辞儀をした。健かな血が、化粧した肌理のいい頬に、美しく上っていた。