Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans
いつ頓死をしねえとも限らねえ」
「ようがす、わっしも今度は真剣になって、この正月の埋め合わせをします」
「まあ、うまくやって見てくれ」
熊蔵を帰したあとで、半七はかんがえた。熊蔵の云うことも馬鹿にならない、家主の威光と大勢の力とで、猫婆が生みの子よりも可愛がっていたたくさんの猫どもを無体にもぎ取って、それを芝浦の海の底に沈めた。それから丁度七日目に猫婆が不意に死んだ。猫の執念とか、なにかの因縁とかいえば云うものの、そこに一種の疑いがないでもない。これはそそっかしい熊蔵一人にまかせては置かれないと思った。彼はあくる朝すぐに愛宕下の熊蔵の家をたずねた。
熊蔵の家が湯屋であることは前にも云った。併し朝がまだ早いので、二階にあがっている客はなかった。熊蔵は黙って半七を二階に案内した。
「大層お早うごぜえましたね。なにか御用ですか」と、彼は小声で訊いた。
「実はゆうべの一件で来たんだが、なるほど考えてみるとちっとおかしいな」
「おかしいでしょう」
「そこで、おめえは何か睨んだことでもあるのか」
「まだ其処までは手が着いていねえんです。なにしろ、きのうの夕方聞き込んだばかりですから」