Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
シトギという語の現在も行われているのは、多くの場合には古い神社であり、祭礼の折にその語が現われてくる。たとえば越前敦賀郡の東郷村の諏訪社では、シトギは三合三勺の米をもって作った三つの丸い餅であった。餅とはいっても水練りの粉を固めたものだったろうと思う。熊本県の北部で棟上式の日に投げる餅だけをヒトギ、是などはすでにただの餅をそう謂っているのである。能登の北川村の諏訪神社九月二十七日の祭に作るヒトミダンゴ、是もシトギの訛音らしいが、この方は今いう団子になっている。東北では宮城県北部の村々でオシトネ、九月九日の節供に新米をもって製するもので、是は生の粉を水で固めたものであった。岩手県では一般にこれをシットギと謂い、風の神送りの日に作って藁苞に入れて供え、または山の神祭の際に、田の畔に立てる駒形の札に塗りつけた。青森県の八戸地方で、同じく神に供えるナマストギも是である。人は今日では煮るか焼くかして食う故に、とくにこれを生のシトギというのである。生米を噛んで食う風習とも関係があって、以前は人間も生のままで食べていたのが、いつとなく嗜好が改まって、後には神仏に参らせるだけの食物のごとく考えられるに至ったのである。