Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
是は我々の最も注意すべき点で、阿波という国は関東地方に向かって、穀の木の普及を図りたまうと伝えられる天日鷲命の本国であって、現に千葉県の安房もその阿波の古代植民地であったが故に、国の名を同じうするのであろうという説があり、また『古語拾遺』によれば、その天日鷲命が東国経営の際に、穀の木を栽えられた地方が今の下総の結城であったとも言われている。結城のユフは一種麻以外の繊維料で、それは穀のことだということが古く認められていたのである。楮はカゾともまたカミソとも謂う地方があって、現在は紙の原料としてのみ知られているが、以前は少なくてもその一種に、是を糸に紡いで布に織り用いたものがあったのである。ユフの使用は今日は神祭に限られ、それも代品ばかりで何が本当のユフだとも知れぬようになっているが、我々の祖先の思想としては、神に供えるのは各人常用の必要品の中でも優等なものを選ばなければならぬのであったから、すなわちまたユフと訓まれた昔の木綿が、今のモメンの木綿と同様に、衣服の資料であったこともほぼ明らかなのである。
楮は今日でも林木と畠作物との中間の、いわば半栽培品の状態にあるが、以前も苑地に栽えるまでの必要はなくても、やはり自由に採取のできるほど山野に充満してはいなかったために、その生産地は多少これを注意し且つ保護して