Classiques japonais avec furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lisez 植物記 (しょくぶつき) de 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 165 848 caractères · 327 écrans
それは普通の梅の様に赤紫の萼色が雑らないので白は益々白く見える。世人がもしもこの如き花を賞せんとならば、天霽れし日、須らく湘南国府津西方の一駅、下曾我に下車しを曳いて徐ろに圃間を逍遥すべきダ。必ずや※(「彳+低のつくり」、第3水準1-84-31)徊去る能わざる執着を感ずる無くんばあらずであろう。
枝椏縦横に交錯する梅花林の間を卜して小高台を仮設しこれに登り前後左右雪白の麗花、浮動する清香の間に月を帯びて仮寐するのはこの上も無く雅懐を養う事になるであろうと私は私かに羨望し、もしも我庭に幾株の梅樹の在るならばまず自らこれを試みたいと思うけれども、恨むらくは庭裏ただの一株もこれ無きを如何せん哉である。タトエ羅浮の夢は結ばんで見てもせめては多少の吟咏は得らるるであろう。梅花花下の肘枕、花神は必ずやその風流を憐れんでくれるであろう。
〔補〕梅の実は花一輪に一顆を結ぶのがその常態であるが、偶には一花中に数子房があって花後に数子を生ずるのがある。これを八つ房梅と称える。かの越後七不思議の中の八つ梅はすなわちこれである。しかし熟する時までその八子の完全に残るものは寡なく、大抵はその前に落ち、残って熟するものは唯二三子のみである。