Classiques japonais avec furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lisez 植物記 (しょくぶつき) de 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 165 848 caractères · 327 écrans
山地向陽の草間に生じて一株に一条ないし三条許の茎が出て直立し斜めに縦脈のある狭長葉を互生し茎と共に手ざわりらき毛を生ずる。七、八月の候茎梢分枝し枝上の苞葉腋毎に五裂花冠の小白花を下から順次に開き開謝相次ぎ久しきに亙って終る。枝末の嫩き部は多少外方に巻曲してムラサキ科植物の常套特徴を呈わしている。ムラサキの名に相応しい美花を開くと思いきや、それは全く意外で誠に平凡な小花を出すに過ぎない。しかし万緑叢中に点々としてその純白花の咲いている風情はまた多少捨て難い所がないでもなく、これがムラサキの花だと思うと何となく貴く感じ思わずこれを見つむる心にもなる。花がすむと堅き粒状の小実を宿存蕚の中心に結び平滑で遂に真珠色を呈するに至るが、採ってこれを蒔けばよく生える。
この草の根が紫根でいわゆる紫根染めの原料である。その根は地中に直下する痩せた牛蒡根で単一あるいは分岐し生時はその根皮が暗紅紫色を呈している。昔は江戸紫などと称え一般に紫はこの紫根で染めたものだが、今日では美麗な新染料に圧倒せられてこのユカリの色の紫を紫根で染める事は実に稀れになってしまった。それでも染める紺屋が偶には無いでもないので、私は以前これを秋田県の花輪町で染めさせた事があった。