Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans

Aozora Bunko

「しかし、断わっておきますが」と玄四郎はまたおみやを見た、「もしも気乗りがしないのなら、いやだと云って下すっていいのですよ、もともと無理な頼みだし、非常な危険がともなうのですから、いやになったら、あとからでもいやだと云って下さい、わかりましたね」

おみやは、ええ、と頷いた。

彼女の顔には、虚脱とすてばちの色が、混りあってあらわれ、それまでの単純な表情とはまるでべつな、一種の嬌めかしさ、といったふうなものが感じられた。

「これでお別れ致しましょう」とおみやが云った、「証書のことは心配なさらないで、きっとうまくゆくと思います。なにかお知らせすることがあったら、いつもの木戸のところでお呼び申します」

「待っています」

待っているがあせらないように、と玄四郎が念を押し、おみやは承知した。おみやはけんめいに自分を抑えていた。玄四郎が立ちあがり、刀を差して、編笠を手に出てゆくまで、笑顔こそ作れなかったが、玄四郎にはなにも気づかせずに、廊下まで送りだした。

「――さりとては、また」

座敷へ戻ったおみやは、鼻唄をうたいながら、窓のところへいって、池のほうを眺めやった。