Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans

Aozora Bunko

秋ぐもり

「その話しなら無用です」と甲斐は穏やかに云った、「私には縁もなし、聞く興味もない、どうか引取って下さい」

「原田どの」

六郎兵衛の声には哀願のひびきがあった。しかし、甲斐は向き直ってそこを去った。うしろで、原田どの、と六郎兵衛の呼びかける声が聞えた、「貴方は後悔しますぞ」

だが甲斐はまっすぐに前を見たまま、静かな足どりで去っていった。

洗面をしたあと、鏡の前に坐った甲斐は、鏡面に写っている自分の顔を、じっと見つめた。両の耳のところに、白髪がふえ、額の皺が深くなった。額の深くなった皺と、両の鬢に眼立ってきた白髪とで、すっかり面がわりがしたように見えた。

「ひどい荷を、背負ったものだ」と甲斐は呟いた。

ひどい荷を、と口の中で繰り返したとき、おくみがはいって来た。甲斐は着替えをしようと云って、立ちあがった。

秋ぐもり

おみやが駿河台下の家へ帰ったとき、兄の六郎兵衛は酒を飲んでいた。時刻は午後五時すぎ、――道場ではまだ稽古の音がして、門人を教える野中又五郎の、よくとおる、甲の高い声が聞えていた。

おみやはさきに新八の部屋へいった。もううす暗くなった部屋の中で、宮本新八は仰向きに寝ころがり、手足を投げだして、だらしなく眠っていた。