Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans
黙っていろ、というふうに手を振り、そして、馬の側へ近よって、百姓から手綱を受け取った。
「待て、その馬に触れるな」と髭の若侍が喚き、七十郎の脇へ歩みよった、「われわれが借りたと云っているのが、聞えないのか」
「ゆこうかな、里見老」と七十郎が十左に云った。
十左もそっちの馬の手綱を手にし、二人の百姓は、さっと畦道のほうへ逃げこんだ。
「やい田舎者、その馬からはなれろ」と若侍が喚いた。
七十郎は振返って、自分の馬の手綱を十左に渡し、ちょっと頼むと云いながら、三人の顔を順に見やった。一人ひとり、ゆっくりと顔を眺め、それから、髭の若侍に向かって、喧嘩かと訊いた。
「喧嘩を売りたいんだな」
「馬をよこせと云うんだ」
「三人で二頭の馬をどうする」
「どうしようとこっちの勝手だ、文句を云わずにそこをどけ」
「ばかなやつだ」
「なんだと」
「ばかなやつだというのだ」七十郎は唾を吐いて云った、「喧嘩を売るということは初めからわかっている、きさまたち三人の面にちゃんと書いてある、馬だなんぞとよけいなことを云わずに、喧嘩なら喧嘩と、男らしく仕掛けたらどうだ」
「いいとも」若侍はうしろへさがった、「それが望みなら相手になろう、だがえらそうな口をきいて後悔するなよ」