Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans
七十郎は飲もうとして、銚子に酒がないのを知り、大きな声で辻村と呼んだ。又之助、酒がないぞとどなり、それからぐらっと頭を揺って甲斐を見た。
「私が一ノ関に呼ばれたことは御存じでしょう」
「いや、知らないね」
「御存じがない、本当ですか」
「知らないようだな」
「私は一ノ関に呼ばれました」と七十郎が云った、「私を五百石で家臣に召し出してやろうというんです、これも知りませんか」
甲斐は首を振った。七十郎は皮肉に、そいつはふしぎですな、と云った。
「家臣に取立てようということを、後見の一ノ関が知っていて、国老が知らないというのはふしぎだ」
甲斐は微笑して、ふしぎなことはないと思うがと云い、なにか可笑しいことでもあるように、それでどうした、と訊き返した。
「断わりました」
「ほう、五百石では不足か」
「五百石は私には有難い、北村の実家や小野(伊東采女)から小遣をねだっている身の上だから、私にとって五百石はたいまいです、しかし、――それは伊達家から呉れるのではなく、小野の知行から分けるというんです」
甲斐が喉で笑った。
「可笑しいですか」と七十郎が訊いた。
甲斐は「いや」と首を振った、「一ノ関のことを連想したのだ」