Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans

Aozora Bunko

「おい、ちょっと立つぜ」

「どうするの」

「借りて来る物があるんだ、ちょっと頭をどけてくれ」

新八は立ちあがり、おみやは手枕をした。おみやは手枕をしたまま、頭をぐらぐらさせながら、帰っちゃだめよ、と云った。舌がよくまわらず、唇の端から涎が垂れた。

新八はすぐに戻って来、借りてきた三味線を持って坐ると、爪弾きで調子を合わせた。三味線は胴の裏皮がめくれていて、糸をはじいても反響はなく、破れた樋でも叩くような音がした。おみやが、なによ、どうするの、と舌ったるく訊いた。新八は坐り直して、なに、いたずらだ、と云った。

「お愛嬌にいたずらをしてみるから聞いてくれ、笑ってもいいんだぜ」

新八は三味線を弾きはじめた。三絃の中から、なにかを捜し出そうとでもするように、一音ずつ、まをおいて、ゆっくりと低く音階をたどり、ごく短い一小節がまとまると、それを繰り返した。

手枕をして横になったまま、頭をぐらぐらさせていたおみやは、いつか眠りだしたようすで、頭は動かなくなり、その口から軽い寝息のもれるのが聞えた。

新八はやがて、だめだ、と呟いて手を停めた。思うように音がつかめないらしい、まとまりかけると、これまでに覚えたほかの唄の節がはいるようすで、彼はがっかりしたように、三味線を抱えたまま、ぼんやりとおみやの寝姿を見まもった。