Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

今夜の感じには、それとは比べものにならない、澄みきった厳粛さがあった。

しかし一方では、彼の草履の音が、ぴたぴたと音を立てて、たえす、彼の耳に、彼自身の運命を囁いているかのようであった。

(恭ちゃんや俊ちゃんは、何があっても、平気で家に落ちついていられるのに、自分だけが、なぜ乳母やの家から本田の家へ、本田の家から正木の家へと、移って歩かねばならないのだろう。一たい、何処が自分の本当の家なのだ。)

(父さんはこれから、何処へ行くのだろう、そして何をするのだろう。乳母やとは、あれっきり、一度も逢ったことがないが、父さんにもこれっきり、逢えなくなるのではなかろうか。)

そうした疑問が、次から次へと、彼の頭の中を往来した。むろん、永遠とか、運命とかいうようなことを、はっきりと意識する力は、まだ少年次郎にはなかった。ただ、彼には、ふだんとちがった、厳粛な淋しさがあった。そして、星の光と草履の音との交錯する中を、默りこくって老人のあとについて歩いた。

「眠たいかの。」

「…………」

「こけるといけない。手をつないでやろう。」

次郎の手を握った老人の掌は、しなびていた。