Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

いろんな人が彼をのぞきに来たが、誰も彼も、

「案外大したことでなくてよかった。」とか「もう痛みはとれたのか。」とか、そういった同情的な言葉だけを残して行った。

誠吉はお延にひどく叱られたらしい。彼も実は、右手の小指から手首にかけて、細長く火ぶくれがしていたが、それを誰にもかくしていた。夜になって、こっそり次郎にだけそれを打ちあけ、枕元にあった黄いろい薬を少し貰って塗りつけながら、彼は母に叱られた話をした。

「お祖父さんに叱られやしない!」

次郎は、祖父にだけまだ言葉をかけてもらえないでいるのが、非常に気がかりだった。

「ううん、何にも言わないよ。」

誠吉は無造作に答えた。しかし次郎は、そう無造作に言われると、かえって胸が重たくなった。彼は、祖父の自分に対する愛がこのごろ衰えたとは決して思っていない。だが、その愛には何か犯しがたいものがあって、うっかり飛びついて行けないような気がする。牛肉一件以来彼はそうした気持になっているのである。その意味で、祖父に愛されていることは、彼にとって一つの重荷でさえあると言える。しかし、それだからといって、彼は祖父の愛から逃げ出したい気持には少しもなれない。