Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

次郎の涙は容易にとまらなかった。彼は飯をかき込みながら、しきりに息ずすりした。袖口と手の甲が、涙と鼻汁とで、ぐしょぐしょに濡れた。お副食には小魚の煮たのをつけて貰ったが、泣きじゃくってうまくむしれなかったので、一寸箸をつけたぎりだった。それでも飯だけは四杯かえた。

お民は、その間そばに坐って、次郎のために飯をよそってやった。

それはむろん彼女の母としての愛情を示すためであった。しかし次郎の方から言うと、それはちっともありがたいことではなかった。なぜなら、もし彼女がそばにいなかったら、彼は四杯どころか、五杯でも六杯でも食べたであろうから。

何よりも次郎の心を刺激したのは、恭一と俊三とが手をつないでやって来て、縁側から、珍しそうにその場の様子を眺めていたことであった。

「お前たちは、あっちに行っておいで。」

お民は何度も二人をたしなめたが、二人は平気な顔をして、ちっとも動こうとはしなかった。飯が存分に食べられなかったのは、一つはそのためでもあったのである。

飯がすむと、次郎はまたしばらくの間、母の説教をきいた。説教をきいている間に、涙がひとりでに乾いて、彼の心は妙に落ちついて来た。