Classiques japonais avec furigana
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みずのしたのいし
水の下の石
山本 周五郎
Lisez 水の下の石 (みずのしたのいし) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 791 caractères · 28 écrans
時が運命のわかれである、――潜って脇へゆけ小弥太、そう大七は心のなかで呼びかけた、苦しいだろうが潜っていって石垣へ貼りつけ、そこで浮くな、がまんしろ小弥太。できることなら喉も裂けよと絶叫したかった、今か、今かと身を寸断されるおもいで、浮いて来る小弥太の物音を聞きすましていた。しかし水面はひっそりとしていた、墜ちこんだ音がして、やがて水がしずまって、ずいぶん経ってもなんのけはいもしない、浮きあがるようすはないし水も揺れないのである、城兵はただ水面にある焼けた橋桁の折れだけをみつけた、「あの桁が落ちたんだな……」「びっくりさせられたぞ」そんな話しごえがしずまりかえった濠を越えて聞えた、そして間もなく、かれらは城門の中へ去り、火あかりも見えなくなった。
大七にとってはその短い時間がたたかいの命だった、それに比べればそれから朝までの事はあっけないほど順調にはこんだ、五人はしゅびよく城中へ忍び入り、手わけをして矢倉や城館へ火をかけた。焔硝蔵をみつけてこれに火を放ったのが思い設けぬ拾いもので、その爆発のすさまじさが敵兵をまったく混乱におとしいれた。