Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

「なあに、江戸の場末には、ありがちなことさ」

「ちょッと、この花櫛が気になるじゃねえか」

「そこの切支丹屋敷に棲んでいる娘ッていうのが、あぶれ者に巻かれていたんだ」

「ふウん……」

「武家の娘だろう、懐剣でその仲間のわき腹を突いていた。だが仕舞にゃ取ッちめられて、あべこべに突き刺されそうになったところを、うしろから馬春堂先生が、そいつを蹴とばしてやったというだけの話で、あとは濡事にもなんにもならずさ。それで安心しただろう」

「はてな、こんな花櫛をさすような娘が、あの山屋敷の中にいたろうか」

「すらりとした美い女で、お前がいたら定めしどうかしたかったろうよ」

「年ごろは」

「八か、十九。背があるからもう少しにも見える。何しても、今時の娘の度胸のいいにゃ驚くなあ」

「そうか、ウーム……」と、伊兵衛は花櫛を懐にねじ入れ、立ち上がって馬春堂の出足を止めて、

「ちょッ、ちょッと待ってくんねえ」

ひょいと振分を渡されたので、馬春堂は何気なく、肩にそれを預かりますと、伊兵衛はフワリと自分の合羽まで脱いで、かれのうしろから着せかけてやった上に、

「どうだ、あったかいだろう」

と一ツ背中をたたきました。