Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lisez 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) de 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 151 120 caractères · 302 écrans

Aozora Bunko

長いこと転々としてその昂ぶった神経を持てあましながら、ラッセルのように懶いの羽音を、目をつぶって聞いている中に、看護婦が廻って来た。

「三時ですわ、お熱は……」

「あ、忘れてた……今はかるよ、マダムどう――」

「はあ……」

私は体温計を脇の下に挿込みながら、その見習看護婦雪ちゃんの子供子供した顔から、

(マダムは悪いナ……)

と直感した。

「恰度、お体の悪い時なので、なかなか出血が止まらない、と先生が仰言ってましたわ……」

「ああそうか、悪い時やったもんだナ」

私もなんだか熱っぽいようだ。

体温計をこわごわ覗いてみると、七度五分。

(いけない……)

私は急に胸苦しさを感じて来た。

「僕も熱が出ちまったよ」

「皆さんですわ、……あんなのご覧になると……諸口さんなんかもうお部屋で真蒼になってお寝みですわよ」

そういわれてみると、いつの間にか諸口さんも、青木も姿がなかった、私は、

(気のせいだ)

と思いながらも、七度五分、七度五分と二三度呟くと、又ぐったり寝椅子に埋まってしまった。

雪ちゃんは、そっと私の足に毛布をかけて行った。

×

やがて蒼空が茜のためになんとなく紫がかって来、水蒸気が仄々と裏の森から流れ出て来ると、夕食の鐘が、きょう一日、何事もなかったかのように、私のところにまで響き伝わって来た。