Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lisez 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 496 caractères · 368 écrans

Aozora Bunko

「そうか」

と兵庫は安心したように云ったが、

「聞こうと聞くまいとどうでもよい。どうせ即刻討って取る汝だ! ……松浦氏」

と眼で合図し、

「こいつ悪智恵逞しく、このように大地に伏し仆れ、死骸同様じゃなどとほざいている以上、なかなか立ち上がりはいたすまい。……死骸でも構わぬ討ってお取りなされ。……といっても貴殿には気持ち悪うござろう、よろしい拙者一太刀加える! いかな卑怯なこやつでも、立ち上がって刀取るでござろう、そこを斬り伏せ復讐なされ。……参るぞーッ」

と兵庫は刀をふり冠った。

とたんに、

「蛇だ――ッ、蝮だ――ッ」

と、三十郎が怒号した。

「あれ――ッ」

とこんな場合でも、蛇だ蝮だと叫ばれては、女の身としては気味悪く、菊女は思わずそう叫び、思わず背後へ飛びのいた。

得たりとばかり飛び上がったのは、刀を拾いあげた三十郎で、さながら脱兎の勢いをもって、庭を突っ切り座敷へ飛び上がり、燭台を蹴仆し暗黒とし、座敷を縦断して表戸口へ走り、そこを駈け抜け露路を出で、そのまま姿をくらましてしまった。

その素早さ眼にもとまらず、兵庫も民弥も菊女も茫然と、佇んで見送ったばかりであった。