Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(五) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 252 330 caractères · 505 écrans
六波羅攻め
舎弟の直義も、一トすじの矢を壇にささげて拝をおこない、以下一族の吉良、石堂、一色、仁木、細川、今川、荒川、高、上杉などみな順次に奉納矢を上げたので、祭壇は、矢の塚になった。
さいごに、ここで高氏は、
「一色右馬介に、一番の矢を命じる。右馬介、旗上げの祝い矢いたせ」
と、その名誉を、彼に、名ざした。
右馬介は十年の苦もむくわれて、じんと全身熱くなった。引きしぼったかぶら矢はうなりを曳いて雲間に破軍の笛をふいた。と共に、一万余の諸声が、三度、山こだましてあかつきを揺りうごかした。――すでに高氏の駒をつつんだ旗本たちの影は流れをなして、社前から大江の山道を発している。
王子、老ノ坂は、またたく越えた。ひがしには大きな日輪が霧の海を敷き、桂川も洛中も、白い霧の下でしかない。ただ目をさえぎるものは、この人馬に驚いて、金色の中をしきりに翔けちがう飛天の山千禽だけだった。
六波羅攻め
六波羅もすでに強力な備えに入り、これまでにない決意の相を偵知のうえで否みなくされていた。全兵力を洛外の防禦線に配して、庁内の皇居の守りに、わずか千余騎を、内に残していただけだった。