Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans
そう云って、テーブルから立つ仕度をした。
「日本は、ひどくおくれた国だから、それだけ男のひとは、女より特権をもっているんです。そういう意味で女は抑圧されている大衆なのよ。結婚して、そして離婚したっていうことは、これは女にとって何かのことなんです。わたしは、そういう女として、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)に一年半暮したのよ。そして、生活そのもので、全体の方向としてあすこを肯定するんです。人々によろこびの生活の可能があるのを見ているんです。わたしのは、知的遊戯じゃないの」
勘定書を手にとってカウンターの方へ歩きながら利根亮輔が云った。
「――伸子さんはエラスムスではなかったんですね」
こういう会話そのものが、その本質では何をはっきりさせようとして、利根亮輔という男と伸子という女との間にかわされたのであったろう。
伸子が、間もなくロンドンを去るというある曇り日の夕暮ちかく、利根亮輔と伸子とは人通りのまばらなバッキンガム宮殿前を、並木路沿いに歩いていた。歩きながら何気なく、利根亮輔が云った。
「あなたのようなひとを、思いきり自由に伸して、書きたいだけのことを書かしてみたら、さぞ愉快だろうなあ」