Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans

Aozora Bunko

自分たち夫婦が一週間の予定でジェネ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)旅行に出発するとき、留守の台所の入費を、泰造は、いつもどおりまとめてマダム・ルセールに手渡して行ったのだった。

マダム・ルセールが用意しておいた料理を運んで、姉妹が夕飯のテーブルについたある晩のことだった。つや子が、フォークを手にとったまま、じっとテーブルの上にのっている大皿に目をこらして、いつまでも自分の皿へとりわけようとしない。

「どうしたの? 何かへん?」

姉としていくらか責任のあるこころもちになって、伸子は大皿をひきよせて調べるようにそこに盛られている料理を見た。茶色のこってりした煮汁をかけてシチューされた肉が、ジャガイモや人参のとりあわせで出されている。

「おいしそうじゃないの」

のぼせたような顔で、もじもじしていたつや子が、訴えるような小さい声で姉にきいた。

「これ兎じゃない?」

伸子は皿をひきよせて、たしかめた。

「そうだわ」

あとじさりするような眼つきになって、つや子は手にとっていたフォークをそっと下においた。

「きらい?」

つや子は、かぶりをふった。

「だめなの――」

そう云えば、つや子はパリの肉屋で、兎のむいたのをつるし売りしているのを、ひどくいやがった。