Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans

Aozora Bunko

奥から、食器類を洗っている音がする。伸子は、ドアから入った。そんな時刻にかかわらずニッケルの大湯わかしのコックから熱湯の湯気がふいていた。

「まあ、運がよかった! お湯を下さい」

大流しに積まれた皿類を洗っている女は、伸子が見たことのない四十がらみのひとだった。骨ばった、力のありそうな体つきで、たった一人、皿洗いしていたその女は、洗い桶のところから伸子を見た。

「どうぞ」

彼女はパジャーリスタとは云わないで、よく街頭の物売女がいうようにぞんざいにパジャーリチェと云った。ざらっとした声だった。顔だちや髪に荒れたところのある、だが身をもちくずしたというのでもないその女は、パッサージでは見かけることのすくないたちの女だった。

「どうして、こんなにおそくまで、お皿を洗っているの?」

ニッケル湯沸しのコックに空色ヤカンをあてがいながら、湯気の間から伸子がきいた。

「ドイツから代表がついたんです。彼らは、ついてから食べたんです」

「あなたは、臨時?」

「そうですよ」

皿を洗いながら、女は、

「臨時ってのは分がわるくてね、仕事がいつだって多いんだから……」

ぬれ手をあげて腕で、額をこすった。