Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans

Aozora Bunko

伸子は手をのばして、デスクのむこう隅においてある小説新聞をとった。イレッシュの小説特輯だった。イレッシュの代表的作品と紹介されているこの小説は、イレッシュが故国のハンガリーで書いたものだった。この事実のなかに、伸子の執拗なわからなさをひきつける何かの暗示がある。

伸子は、ソヴェトに来た翌年の夏、レーニングラードにいたとき、九十枚ばかりの小説をかいた。ソヴェトの生活に取材して、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のアストージェンカに暮していた期間の印象や、レーニングラードの下宿生活をはじめてからの見聞を組立てた作品だった。

伸子は、あのころ、ほんとうに階級というものの歴史を理解していなかった。それぞれの国の革命の過程というものも理解していなかった。

あれから満一年たって、ベルリンやロンドンの生活からモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の社会を観てふたたびモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ帰って来たいまの伸子には、かえって小説が書きにくくなっている。伸子は、もうおととしの夏のように、自分の目の前に過ぎてゆく生活風景のいくこまかを、そのまま、切りとった小説はかけなかった。